明日の予報は流星嵐。

放課後のプレアデスのことだけ書くと言ったな。実はあれは嘘だ。更新はあまりしません。

ななこ13における105日問題について

「けど、0.25光年って言ったら……四分の一光年だから……」「えっと、光の速さでも……3ヶ月?」(8話より ひかる すばる)

 

 8話において、太陽系外縁部、オールトの雲付近にあるとされるカケラを探しに行くことになったすばるたちであったが、その距離なんと0.25光年、すなわ地球と太陽の距離のおよそ1万5千倍!仮にNASAが現在開発支援中とされる核融合エンジンが完成し、それを搭載した未来のスーパー宇宙船に乗ってカケラを探しに行くとする。核融合エンジン搭載型スーパーウルトラミラクル宇宙船の速度は時速32万kmにも達するらしい。しかし、この宇宙船で旅をしたとしても0.25光年≒2兆3700億kmを移動するのに740万6250時間=308593.75日≒845年もかかる計算になる。気が遠くなりそうだ。

 作中ではプレアデス星人の提案、そしてななこの立候補により、合体型ドライブシャフトを用いて光速に近い速度で外縁部を目指すことになる。それでもおよそ3ヶ月かかってしまうようだが、845年と比べればなんてことはない。ほんの一瞬。

 さて、余計な前置きが長くなってしまったが、今回問題にしているのは、ななこが0.25光年を移動する際に経過した時間についてである。予めこれだけは言っておきたいのだが、あくまで私の勝手な予想であり、「あーそれ勘違いだよ」と言われてしまえば即終了ハイ撤収~な話なので、深く考えるだけ無駄なのかもしれない。まぁ、私としてはああでもないこうでもないと色々考えることが出来たし、その時間がたまらなく充実していて楽しかったので良しとする。

 ちなみに105日問題というのは私が勝手にそう呼んでいるだけで特に深い意味はない。です。

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ありがとう、アインシュタイン。何度も叫びたい。

 

  まず、作中の演出から、ななこが地球を出発したのは10月に入ってからということが分かる。

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 そして、ななこがアパテに到達した時のすばるたちの様子から、地球ではクリスマス頃を迎えていたと推測することが出来る。

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 ここで、ななこが出発した日を10/1、アパテに到着した日を12/24~25と仮定しよう。すると、カケラを見つけるまでに地球時間で85~86日(約3ヶ月)経過したことになる。さて、ここで合体型ドライブシャフトの時間表示を見てみよう。

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 これによると、ななこがアパテに到達した時点で105日が経過していることになっている。……20日程の誤差が出てしまった。仮にカケラまでの距離が正確に0.25光年で、光速で移動したとしても約91日かかることになり、これでも大幅な誤差が出てしまう。

 ここで、2つのパターンが考えられる。

①地球ではクリスマス頃という仮定が間違っている場合

②105日表示が間違っている場合

 

パターン①、ななこがアパテに到着した時地球では既に1月に入っていたとすれば辻褄が合うように思える。 しかし、その後の「冬になったら綺麗なイルミネーションが見られるよ!」「文化祭もあるしな!」「クリスマスも!」というセリフから考えると、やはり1月に入っていたとは考えにくいのではないだろうか。とは言ったものの、1月に入ったらイルミネーションが見られなくなるわけでもないだろうし……うーむ。「皆でモチつきしよう!」などのセリフがあれば確実なのだが……。

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 一つ言えることは、もし1月に入っていたとすればあっという間に105日問題は解決するということだ。ちまちました計算は無駄になってしまうが悲しむのは私だけである。

 

  次にパターン②だが、正直言って105日表示が間違っていたとは考えにくい。そもそも本作は作りこみが半端じゃないことで有名(?)であり、科学考証も非常にしっかりしているため私からすると「この制作スタッフに限ってこんなミスはないだろう」というのが本音。

 ここで、少しごちゃごちゃした話をしよう。先程の画像、地球時間が表示されたパネルの下にもう一つ経過時間が表示されているが、これはななこが体感している時間のことである。作中でも触れられているが、光の速さに近づくにつれ、時間の流れが遅くなるという不思議な現象は、かの有名なアインシュタインによって示された。特殊相対性理論と呼ばれるものである。あまり数式を用いて説明したくないが、1つだけ紹介すると、下記のようになる。

 

{ \displaystyle t_N= \sqrt{1-(\frac{v_N}{c})^2} t_E} 

 

ここで、謎の記号たちはそれぞれ 

{ \displaystyle t_N}:ななこの時間

{ \displaystyle v_N}:ななこの移動速度

{ \displaystyle c}:光速

{ \displaystyle t_E}:地球時間

を表している。

この式によれば、たとえば新幹線に乗って移動している人の時間は、今パソコンの前に座っている私より僅かに遅れるということになる。もっとも、変化がわずかすぎるあまり遅れていないのと同じなのだが……。

 さて、このややこしい式を用いて色々と検証してみよう。まず、ななこが出発してまもなくの時間表示について。

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3時間10分15秒=11415秒だから、先ほどの式を少し変形してななこの移動速度を求めると、

{ \displaystyle v_N=0.99999223c}

となって、合体型ドライブシャフトの最高速度は光速の99.999%であるというプレアデス星人の説明と一致する。

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7日と1時間4分30秒=608,670秒、44分35秒=2675秒だから

{ \displaystyle v_N=0.99999034c}

となりこれも一致。

 そして問題の105日表示だが、

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105日と12時間14分42秒=9116,082秒、9時間32分22秒=34342秒だから

{ \displaystyle v_N=0.99999290c}

となりプレアデス星人の説明に一致。 つまり、光速の約99.999%で移動したときの地球時間とななこの時間との対応はなんら間違っていなかったということが分かる。よって、パターン②は考えにくいと結論付けられる。

  

めんどくさい話

 

 ちなみにTwitterで検索してみたところ、同じような疑問をもった方が既におり、さらに105日問題について監督が触れていた。

考え過ぎかもしれないが、 「何故でしょう?」と言うからには、やはりななこがアパテに到達したのは12月中ということなのではないだろうか……。だとすると空白の15~20日間はどう説明すればいいのだろうか。8話を見ていると、アパテに到達する直前にドライブシャフトが減速している描写があるため、それが関係しているのかもしれない。

 また、アパテはどうやら木星の数倍はあるらしい巨大な天体のようであるから、当然質量もそれだけ大きいと考えるのが自然だ。すると、アパテの周囲には強い重力場が存在しているかもしれない。

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一般相対性理論から予測されることだが、重力によって空間・時間すらも歪められてしまうという現象が起きる。ブラックホールにどんどん近づいていく宇宙船の中にある時計を地球から観測できたとすれば、地球にいる人から見れば宇宙船の中にある時計の進み方はどんどん遅くなっていくように見えるというのだ。一方、宇宙船の乗組員からすれば、時計の進み方は至って普通のように見える。……なんだかここまで来るともうごちゃごちゃしすぎてよくわからない話になってきてしまうので、アパテの重力を考慮して云々という話はこれで終わりにする。てかぶっちゃけ分かんない。

 

 今回は考えたものの結局答えは分からずじまいという結果に終わってしまったが、ひょっとしたらどこかで誰かが既に答えを出していたかもしれない。願わくばどなたかにこの問題を解決していただいて、心のモヤモヤを晴らしたいところ……。

もしくは放課後のプレアデスを見なおして……もう一度特訓しなきゃあ~~~!